傘を題材としたQFD(品質機能展開)セミナー
- Toshiyuki Beppu
- 2024年12月30日
- 読了時間: 2分
更新日:1月8日

あるアパレルメーカーさんにて、QFDを知っていただくためのセミナーを開催しました。
QFDは顧客の声(VOC)を集め、VOCから顧客の真に求めている要求を探り出し、その解決を目標として新製品を企画する技法です。ただし、なかなかに手の込んだ方法です。ステップに応じた考え方を適切に用いなければ、求めるゴールへとは至れません。
そこで、講演会にてQFDの概略を紹介し、実地に体験してもらうセミナーを開催することにしました。
ところが、講師の立場ではセミナーの企画が難しい。これまでに機械や電気系の製品を題材としてQFDを指導してきましたが、それらに必ず使われている(品質)要素、アクチュエータや機構、マイコンや電子回路、はアパレルにはありません。
アパレルではウエア (wear) するものを作りますが、そこに用いられる材料(品質要素)は、布と糸とクッション材です。そういった製品を企画・設計・製造されている方々に、ハードウエア (hardware) やソフトウエア (software) を用いた機器を題材としたのでは、QFDは理解しづらいと考えます。
やはり、「自分たちの製品に応用できる」との感触を持っていただかなければ、セミナーはVOCに応えたものとはならないでしょう。
そのため、QFDの題材には「傘」を選びました。アパレルと同じく工業製品です。そして、ウエアと同じく電源もモータも入っていない ”動かない” 品物です。

参加者の方々には初めてのQFDでしたから、あえてパソコンは使わず、ポストイットにアイデアや機能を記してグループで議論するという〈古典的〉方法でセミナーを実施しました。〈古典的〉方法では、全体を鳥瞰しながら細部を考えることができます。製品の規模が大きいとやりにくいのですが、3、40項目くらいの要求項目であればQFDを学ぶのに適しています。
それに、〈古典的〉方法は全員が参加しやすい。パソコンベースで議論を進めると、一部の参加者(パソコン操作の早い人)に引っ張られがちです。
3.5時間 × 2日間、のべ7時間のセミナーは、かなりの駆け足でした。「消化しきれていない」との意見もありました。それにもかかわらず、「いままでになかった思考が育つと感じます」「商品開発や分析に活用できそうと感じます」、「そのVOCがどうして生まれたのかを分析することが、本当に必要とされる商品を作るために必要だと感じました」など、多くの方からポジティブな声をいただきました。
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