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VE(機能系統図)セミナーを開きました

  • 執筆者の写真: Toshiyuki Beppu
    Toshiyuki Beppu
  • 3月13日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月14日


機能系統図セミナー:機能を記したポストイットを用いて「目的 - 手段」の関係を考える
機能系統図セミナー:機能を記したポストイットを用いて「目的 - 手段」の関係を考える

 VE (Value Engineering) は、製品だけでなく、製造工程や建設作業などのプロセス、業務やサービスなど、あらゆる対象の改良に力を発揮する技法です。そこでは、製品やプロセス、業務やサービスなどの「働き」を「機能」として捉えます。さらには、全体を要素に分解し、分解された要素それぞれの機能を考えます。それらすべての機能が集まって、対象の機能が達成されるのです。

 「機能」として言語化することによって、製品やプロセスのモノやコトから離れて抽象化し、概念として新たな「代替機能」を考えます。その代替機能から、実装する方法や手段を考案します。このようにして、モノやコトから直接に考えるよりも、効果的な改善策を発想できるようになります。


 対象の「機能」を細部まで定義すると、全体から細部(または細部から全体)までの働きを系統立てて理解できます。そして、これらの機能の構成をツリー図にして、視覚的に表したものが機能系統図です。

 どのような製品やプロセス、業務やサービスも、設計のためには細部までの理解が必要です。頭ではわかっているつもりでも、それを視覚的に展開すれば、より深い理解につながります。


 機能系統図では、対象を構成するさまざまな機能を「目的 - 手段」の関係で整理します。ある要素の機能Aは「何のためにあるのか」を考えます。そこには、「何」に当たる機能Bがあるはずです。このとき、機能Bが目的であり、機能Aが目的を達成するための手段となっています。

 たとえば、服にはボタンが付けられています(機能A)。「ボタンは何のためにあるのか」と問えば、付けられた箇所によって「服の前身頃を留めるため」「袖口を留めるため」「襟を留めるため」(機能B)となるでしょう。(装飾のため⦅機能としては「服を美しくみせる」ため⦆のボタンもあります)。


 前身頃を例にとれば、「目的 - 手段」の関係は、

「前身頃を留める」-「ボタンを留める」

となるでしょう。

 さらに、「前身頃を留める」機能が「何のためにあるのか」と考えれば、「服を着やすくする」ためとわかります。つまり、三者の間には、

「服を着やすくする」-「前身頃を留める」-「ボタンを留める」

の「目的 - 手段」の関係があります。


 このように、人間の作るモノやコトには必ず「目的 - 手段」の関係があります。加えて、その「手段」が次の「目的」となって、多層の「目的 - 手段」を構成しています。機能系統図の作成は、これらの「機能の階層」を明らかにしようとするプロセスです。

 

 ところが、いざ、階層を考えようとしても、たくさんの機能を目の前にすると、どこから手を付ければよいのかわからなくなります。製品や要素の機能を考えることも、そして、機能の関係を整理することも、どちらもビギナーにとってはむつかしい。経験を積んだベテランであっても「それは何のためにあるのか」と質問されると、考え込んでしまうことがあるほどです。


 ビギナーの方々にも理解していただくため、セミナーでは、メーカーのWebショップにある製品説明を題材としました。説明文から「機能」を抜き出し、それらの関係を明らかにするという方法です。「全体から細部(または細部から全体)までの働きを系統立てる」と記しましたが、途中から機能系統図を作ろうとする方法です。


機能系統図セミナー:グループで知恵を出し合って進める
機能系統図セミナー:グループで知恵を出し合って進める

 手順の説明後、グループに分かれて機能系統図作成に取り組みました。機能を一つずつポストイットに記して、

  • それは何のために?

  • それを機能させて達成させることは何?

と考えて、その機能の目的(上位の機能)を探します。

 あるいは、ある機能について、

  • どのようにして実現する?

  • 機能を達成するための手段は何?

と考えて実現方法(手段機能、下位の機能)を探ります。


 作成の途上では、別の機能と考えていたことがじつは同じことであったり、意外なところでメンバーの自社製品に対する認識が様々であることがわかったり、など参加者にも思いがけない発見がありました。


 自社製品を例としてのセミナーでしたので、2日目には多くの方々が、機能のつながりを考えられるようになっていただけました。

 これからの製品開発に役立てていただければ幸いです。

 
 
 

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